ひと粒の真珠の事務局長を僕はやっています。
毎年、真珠をテーマにした俳句、川柳の募集をするのですが


らん篭の あこやの火照り 原爆忌

という句が送られてきました。

この句を作られたのは、対馬で真珠養殖をされておられる方です。

ちょっとこの句を解説すると
「らん篭」というのは卵篭、あこや貝に卵を産ませる時
わざわざ狭い篭に押し込めて、貝にストレスを与えて産ませるそうです。

真珠の養殖というのは、貝の口を開けて核を入れることから始める、と考えがちですけど
その前にあこや貝を作ることから始まるんですねえ。

核を入れられる大きさになるまで3年、大きな珠を作ろうと思ったら更に1〜2年必要です。

句に戻りますが、あこや貝の産みの苦しみと、
原爆(おそらく長崎の)で被爆しながら生きようとする人間の姿が対比されてるんでしょうね。

奥深い、素晴らしい句です。

それと同時にこの句は、真珠を実際に育てている人にしか作れない句だと思うんです。

後日この方から、一通のお手紙を頂戴しました。
そこにはこんな一節があります。

〜太古より人々を魅了し続けて来た神秘の玉が、人の手が加わる事によってより素晴らしい「命の宝珠」となったこと。
アコヤの命のがんばりと、人の命が心魂を尽した慈しみ、加えて日本の四季が織りなす匠によって育まれ、生まれいできた「アコヤ養殖真珠の命の物語」を世界の人々に語りたい〜

僕はこの手紙をいつも鞄の中に入れて、持ち歩いています。
真珠を育て、作り上げる人のことを忘れないために、
そして「アコヤ養殖真珠の命の物語」を多くの人に語るために、です。