「ひと粒の真珠」開催の第7回パール文芸賞に寄せられた一句です。(残念ながら大賞には選ばれなかったけど)

昨年に引き続き審査委員長を務めた私、はぎちゃんが大賞に推した一句です。

今年のパール文芸賞のテーマは「音」、いろんな音と真珠の作品が送られてきたのですが、
まさか爆音(しかも恐らくはB29の)と真珠とを絡めた作品は想定外でした。

僕が大賞に推した理由はそれだけでなく、
ちょうど選考を行っている最中にさせて頂いたアコヤ真珠のリフォームがまさしく「幾多の爆音聞きし珠」だったからなんです。

Y様から、如何にも古いアコヤのタイピンをペンダントに、
という依頼をお受けしました。
恐らくタイピンになる前にはリングかペンダントとして使われていた穴も開いています。

汚れていましたが、その汚れの下に隠れている真珠層の巻きの厚みは隠しようがありません。

お聞きすると、Y様のおばあさまの真珠で
戦前に購入されたものだということでした。
その頃のアコヤ真珠の核は5〜6mm,この珠は10mm近くあったんで
真珠層の巻きが異常に分厚いことがわかります。
またこの珠の変形具合からも真珠層の厚さが伺えます。

恐らく3年は海の中で育てられたものでしょう、
現在こんなアコヤを求めても、手に入れることは絶対に不可能です。

バフで軽く表面の汚れを落としてやるだけで
見事な真珠層が現れました。
経年変化で黄色みを多少帯びていますが
比類ないテリの強さは、写真からも見てとれると思います。

昔、アコヤのひと粒は本当に宝だったんです。
戦争から生き延び、戦後の成長期をも生き延びたひと粒の珠
この珠をこれからも永遠に語り継いでもらいたいと思います。